リレーエッセイ㉑

入居支援課 生活支援員 石田 行

みずきに来てはや10年(!!!!)になる石田という者です。今回、このエッセイの話をたまわった瞬間は途方に暮れてしまい、アタマの中は「ん?」「エ??」「なんで自分が???」という感じでした。今回のためにバックナンバーに目を通してみましたが、みなさんこんなこと考えてたのかと感心しつつ思わず読み耽ってしまいました。が、読みながらハッと我に返り、感心してる場合か、一体何を書けばいいんだと悩みました。この小さなスペースではとても書ききれませんが、さしあたり、誰もがいつも気にしてるのになかなか口にしないこと、ズバリ「施設の人間関係」についてヤンワリ触れてみようと思います。

みずきに来てまず最初に驚いたのが、その独特の人間関係でした。職員対職員、職員対利用者、利用者対利用者、すべてが他では見られない独自性を帯びており、驚きと戸惑いの連続でした。正直言って、そこではいわゆる「世間の常識」が通じない部分もあります(ここでは主に「職員対利用者」を扱うことにします)。

どの職場でも業務上の細かなルールや暗黙の了解などがあると思いますが、それを楽しめるか苦痛と感じるかは、結局のところ人間関係に左右されるのが普通ではないでしょうか。みずきも例外ではありません。いやむしろ、他の職種よりそれが顕著だと言ってもよいでしょう。というのも、当事者同士の関係性が非常に「濃密」だからです。つまり個人対個人の距離が他の職種ではあり得ないほど「近い」のです。これは業務上のメリットとデメリットの双方があります。バックナンバーでもどなたかが言及していますが、職員と利用者の距離感というのは一見何気ないようで、実はなかなか扱いの難しい問題です。

在宅介護など、業界全体の中ではおそらく身内や親友のような関係も存在するでしょう。ただみずきのような施設では、それだけではやっていかれません。仲が悪いよりは良い方が業務もスムーズに運ぶのは確かです。しかしそれだけだとどうしても「馴れ合い」が生じてしまい、業務上の支障も増えてきます。利用者個人にとって良いことが、施設全体にも良いとは限らないからです。良好な関係の中でもどこかで線引きしなければならないのですが、これが意外と難しい。職員もみな同じ人間、毎日接する利用者さんにまったく無感情でいることは難しいし、実際に友達のような関係を求めてくる利用者さんもいます。しかし逆に、それを「馴れ馴れしい」として不快に感じる方もいます。とはいえ、感情を一切排除して業務に徹するのが良いわけでもないし、熟練の営業マンのようにやたらニコニコすれば好かれる、というわけでもありません。こればかりは本当にケースバイケースとしか言いようがありません。私は新米の頃、ある利用者さんと職員が人目もはばからずケンカ(?)してるのを見てビックリ、しかし翌日にはまるで何もなかったように二人が仲良く話してるのを見て、二度ビックリしたことがあります。

職員にとって、利用者さん方はあくまで業務の対象であって、友達にはなれません。しかしながら同時に、決してそれだけにとどまらない、単なる業務以上の存在であることもまた事実なのです。利用者さんとの適切な距離感、これは今なお私にとっての課題(もしかしたら永遠の課題)と言えます。